家の出入り口である玄関は、毎日何度も開け閉めする場所です。だからこそ、「鍵は閉めているから大丈夫」「ずっと使っている鍵だから」と、見直す機会を逃しやすい場所でもあります。玄関の防犯は、高価な設備を入れることだけでなく、鍵・ドアまわり・訪問者への対応・日頃の習慣を順番に見直すことで、無理なく強化していけます。
この記事では、警察庁の「住まいる防犯110番」や警視庁の侵入窃盗の防犯対策で紹介されている考え方をもとに、玄関の防犯対策を整理します。持ち家と賃貸では、できることが異なります。賃貸住宅では、ドアや鍵の交換、穴あけを伴う取り付けに管理会社や大家さんの許可が必要な場合が多いため、その点も含めてご案内します。

玄関の防犯で押さえたい4つの視点
警視庁は、防犯環境設計の考え方として、「対象物の強化」「接近の制御」「監視性の確保」「領域性の確保」の4つを紹介しています。玄関に当てはめると、次のように整理できます。
| 視点 | 玄関での例 |
|---|---|
| 対象物の強化 | 補助錠、防犯性能の高い錠、ガードプレートの取り付け |
| 接近の制御 | 門扉やフェンス、オートロック、足場になる物を置かない |
| 監視性の確保 | センサー付きライト、見通しのよい植栽、カメラ付きインターホン |
| 領域性の確保 | あいさつや声かけなど、近所とのつながり |
どれか一つだけを強くするよりも、複数の対策を組み合わせることが重要だとされています。次の章から、具体的なポイントを見ていきましょう。
鍵とドアを強くする対策
補助錠を追加して「ツーロック」にする
警視庁は、1つのドアに錠が2つ以上あると侵入に時間がかかるため、泥棒は嫌がるとして、補助錠の取り付けを勧めています。住まいる防犯110番でも、玄関をツーロックにすることが紹介されています。補助錠には、ドアに穴をあけて取り付けるタイプのほか、ドア枠に貼り付けて使うタイプの補助錠など工事が不要な製品もあります。賃貸の場合は、後者のように原状回復しやすい製品から検討するとよいでしょう。ただし、ドアの形状や厚みによって取り付けられない場合があるため、製品ページの対応条件を確認してください。
ガードプレートでドアの隙間を守る
警視庁によると、ドアとドア枠の間に隙間があると、バールなどの工具を差し込まれ、ドア錠を壊されるおそれがあります。この対策として、ドア用のガードプレートの取り付けが紹介されています。ステンレス製などの金属プレートで、錠の周辺を覆う形の製品があります。
防犯性能の高い錠・建物部品に目を向ける
警視庁は、ピッキングやサムターン回しなどの不正な解錠の手口に強い建物部品の設置を検討するよう案内しています。サムターン回しとは、ドアの内側のつまみ(サムターン)を外から回す手口のことで、これを防ぐためのサムターンカバーなどの製品も販売されています。さらに、防犯性能の高い建物部品(CP部品)は、警察庁等の関係省庁と民間団体による官民合同会議の試験で、一定の防犯性能が認められたドアや錠などです。CPマークのある部品かどうかは、商品の説明やメーカーの案内で確認できます。
賃貸住宅の玄関ドアや錠は、住人が勝手に交換できないことが一般的です。補助錠の取り付けや鍵の交換を考えるときは、先に管理会社や大家さんへ相談してください。許可なしの穴あけや交換は、契約違反になるおそれがあります。

訪問者への対応を見直す
玄関の防犯で、グッズと同じくらい大切なのが対応の習慣です。住まいる防犯110番では、訪問者に対して、不用意にドアを開ける前に、まずドアスコープやインターホン越しなどで確認することが勧められています。業者を装って下見に来る可能性もあるため、少しでも不審に感じた場合は、ためらうことなく110番通報するよう案内されています。
カメラ付きインターホン
警視庁は、カメラ付きインターホンについて、訪問者を屋内から確認でき、見知らぬ人が訪ねてきてもドア越しに対応できるので有効としています。ワイヤレス式のカメラ付きインターホンには、工事不要で後付けしやすい製品もありますが、集合住宅の共用部分に設置する場合や、外壁に取り付ける場合は、管理規約の確認が必要です。
宅配便の受け取り
警察庁は、宅配事業者を装った強盗等への防犯対策として、佐川急便、日本郵便、ヤマト運輸との間で、非対面での荷物の受け取りの拡充について合意したことを公表しています。置き配などを希望する場合は、インターフォン等を通じて配達員にその意向を伝えます。住まいる防犯110番でも、宅配業者の訪問を偽装した手口には、宅配ボックスの活用など、荷物を直接受け取らない方法をとることが大切だとされています。受け取り方を事前に決めておくと、とっさの判断に迷いにくくなります。
- 在宅中でもドアは施錠し、訪問者はドアを開ける前にインターホン等で確認する
- 少しでも不審に感じたら、ドアを開けずに110番通報も考える
- 宅配は置き配や宅配ボックスなど、非対面の受け取りも選択肢にする
玄関まわりの環境を整える
センサー付きライトで暗がりを減らす
警視庁は、人の動きを感知して点灯するセンサー付きライトを、死角になる場所に設置すると効果的としています。人感センサー付きのLEDライト(電池式・ソーラー式)は、配線工事が不要な製品が多く、玄関先に置きやすいのが利点です。集合住宅では共用部分に設置できない場合があるため、管理会社への確認が必要です。
足場になる物を置かない
脚立やポリバケツなどは、侵入の足場にされる可能性があります。警視庁も、足場になる可能性のあるものを置かないよう呼びかけています。玄関先やベランダ、庭に置いたままになっていないか、見直してみましょう。
合鍵・新聞・郵便物の扱い
合鍵を郵便受けや植木鉢の下など、玄関周辺に置いておくのは避けましょう。警視庁は、ドアの鍵は持ち歩くようにし、屋外に合鍵を置かないよう案内しています。また、新聞や郵便物がたまっていると、不在が分かってしまいます。長期間留守にするときは、新聞の配達を止めるなどの手配が勧められています。
鍵の持ち歩きや閉め忘れが気になる方は、今の鍵に後付けして、スマートフォンから施錠状態を確認できるスマートロックを使う方法もあります。賃貸の場合は、取り付け方法を管理会社に確認してから選びましょう。

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毎日の習慣でできる玄関チェック
設備を整えても、使い方が習慣になっていなければ力を発揮しません。短時間の外出でも、ゴミ出しや近所への買い物のたびにドアの施錠を忘れない、という基本が欠かせません。警視庁は、短時間の外出でも戸締りをするよう呼びかけています。鍵をかけ忘れた玄関は、補助錠があっても意味をなさなくなるため、外出前に指さしで確認するなど、自分なりの習慣を作っておきましょう。
帰宅時は、玄関ドアを開ける前に周囲を見回し、背後や周囲に人がいないかを確認します。住まいる防犯110番でも、外出先から帰宅した際は、背後や周囲に人がいないかよく確認するよう勧められています。不安を感じたら、ためらわずに明るい場所へ移動し、必要なら110番通報をすることを、家族でも共有しておくと安心です。

防犯カメラを玄関に設置するときの配慮
防犯カメラは、玄関まわりの様子を記録できる設備です。警視庁は、防犯カメラの設置について、プライバシー等の問題を考慮し、適正な使用方法を守って設置するよう案内しています。玄関に設置する場合は、次の点に気をつけましょう。
- 隣家の玄関や窓、共用廊下、通行人が映り込まない向きにする
- 集合住宅では、カメラの取り付けが管理規約で認められているかを確認する
- 録画の保存方法(SDカード・クラウド)や保存期間は、機種やサービスで異なるため、仕様を確認する
- 撮影している旨を表示するなど、周囲に配慮する
個人宅の防犯カメラの映像は、個人情報にあたる場合があります。取り扱い方については、個人情報保護委員会などの公的機関が公表しているガイドラインも参考にしてください。
よくある質問
Q. 玄関の防犯は、何から始めればよいですか?
まずは、在宅時も含めて施錠する習慣と、訪問者をドアを開ける前に確認する習慣から始められます。そのうえで、補助錠やセンサー付きライトなど、費用や手間が少ないものを足していくと続けやすいでしょう。
Q. 賃貸でも補助錠は付けられますか?
工事不要の貼り付けタイプなどの製品もありますが、ドアの形状によっては付けられないことがあります。取り付ける前に管理会社や大家さんへ確認してください。
Q. CP部品とは何ですか?
警察庁等の関係省庁と民間団体が結成した官民合同会議の試験で、一定の防犯性能があると認定された建物部品です。ドア、錠、窓ガラスなどが対象に含まれます。購入や交換を検討する場合は、メーカーや施工業者に確認しましょう。
Q. 留守がちな家は、玄関の何を気にすればよいですか?
郵便物や新聞がたまらないようにし、長期不在のときは配達を止める手配を検討しましょう。センサー付きライトの設置も、暗がりを減らす対策の一つです。
まとめ
玄関の防犯は、補助錠などの設備、訪問者への対応、環境の整備を組み合わせて見直すことがポイントです。警察庁や警視庁の案内では、ツーロック、防犯性能の高い建物部品、ドアスコープやインターホンでの確認、センサー付きライト、足場になる物を置かないことなどが挙げられています。賃貸では、管理会社への相談を前提に、原状回復できる製品から選びましょう。どの対策も、犯罪を防止できると保証するものではありませんが、複数を組み合わせることで、侵入されにくい環境に近づけていくことができます。
参考:警視庁「侵入窃盗の防犯対策」/警察庁「住まいる防犯110番」/警察庁「住まいの防犯対策」
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